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Vol.01『とま郎君、祇園のお茶屋で遊ぶ!』

⇒1.芸舞妓と談笑する
⇒2.京舞を鑑賞する
⇒3.料理に舌鼓をうつ
⇒4.お座敷遊びをする ①とらとら ②金毘羅舟々
⇒5.今日の芸舞妓さんにインタビュー
⇒6.お茶屋遊びをするには?/お座敷でのマナーと行儀作法について

京都で最も華やかで奥の深い花街(かがい)の文化。京都と言えば誰もが連想する舞妓さん、芸妓(げいこ)さんが住む世界です。最初に誤解の無いよう申しておけば、舞妓さん、芸妓さんはいわゆるコンパニオンやかつての娼婦と言った存在とは違い、京舞や唄、和楽器と言った伝統技芸を身につけ、言葉や所作を含めてあらゆる日本文化を体現する者と言えます。
京都には五つの花街があり、それぞれ「祇園甲部」、「祇園東」、「先斗町」、「宮川町」、「上七軒」と呼ばれます。もっとも古い上七軒は西暦1444年に北野天満宮が消失したことがきっかけで成立したと言われますので、500年以上の歴史を持っていることになります。
これらの花街は紳士淑女の社交の場として有名ですが、「一見さんお断り」という特殊な習慣により、多くの人にとって今なおベールに包まれた世界となっています。
この世界をほんの少しみなさんにご紹介するべく、我らがとま郎君が初体験してきました。(⇒「とま郎君」についてはこちら

 花街は大きく分けて「お茶屋」、「仕出屋」、「屋形(置屋)」の3つにより構成されています。お茶屋は場所を提供し、お酒やお料理、人の手配をします。仕出屋はお茶屋へお料理を運びます。屋形は舞妓さん、芸妓さんが所属、生活しており、お茶屋へ派遣を行います。
お客はお茶屋へ連絡し、席の手配をお願いします。しかしここで問題になるのが「一見さんお断り」というシステムです。「一見さん」とは初めてのお客ということです。初めてお茶屋を利用するには必ず誰かの紹介が必要で、馴染みのお客さんに連れて行ってもらわなければなりません。この様なシステムを取っていることには色々な理由がありますが、これにより長年花街の文化と雰囲気を守ってきたと言えます。
 さて、ひとまずお茶屋の手配が出来たとして、その中でどのようなことが出来るのかをとま郎君が以下にご紹介致します。

1.芸舞妓と談笑する

舞妓さん、芸妓さんとは普通に会話を楽しむことが出来ます。
歳は若くても様々な職種の多くの人と接する機会を持っているので、話題も豊富です。
ただし、決してお客様のことを他言はしません。

とま郎君の緊張を解きほぐすように、舞を舞う芸妓(立方)「小菊」さん・三味線を弾く芸妓(地方)「小恵美」さん・舞妓の「佳つ實(かつみ)」さん達は、会話が途切れないように場を盛り上げてくれます。巧みな話術で会話も弾みます。

2.京舞を鑑賞する

舞妓の本分は何と言っても舞を舞うこと。舞が認められなければ、舞妓になることはもちろん、芸妓へとステップアップすることも出来ません。日々練習に励んでいます。

小恵美さんの三味線で、小菊さんと佳つ實さんの舞が始まります。ピンと張り詰めた空気に響く生の三味線の音は一瞬にして別世界へと導いてくれます。
この時ばかりは、日々稽古に研鑽している彼女達を静かに鑑賞しましょう。とま郎君も舞妓さんの綺麗な着物と優雅な舞いに興味津々です。

3.料理に舌鼓をうつ

基本的に「お茶屋」とは貸しスペースです。
お客様のリクエスト応じて、「お茶屋」の女将が芸舞妓の人数やお酒(飲物)、お料理の手配をしてくれます。

とま郎君も事前に用意された京料理に舌鼓を打ちながら飲物もよばれます。この日はなんと「たこ焼き」も出前してもらいました。
必ずしも懐石料理を取る必要は無く、お茶屋の女将さんはお寿司やお弁当・おつまみなどこちらの希望には柔軟に対応してくれます。
とま郎君もたこ焼きには大喜びです。

4.お座敷遊びをする ①とらとら ②金毘羅舟々

お茶屋さんと言えば「お座敷遊び」も醍醐味の一つ!様々な遊びがありますが、いずれもお酒を楽しく飲むためのものです。

今回はとま郎君は最もポピュラーな遊び、「とらとら」と「金毘羅舟々(こんぴらふねふね)」を教えてもらいました。
芸妓、舞妓さんが優しくリードしてくれるので初めてのとま郎君も大いに楽しめました。

①とらとら

「とらとら」は体全体で表現する‘じゃんけん’です。中央に屏風を立てて、屏風を挟んで両人は立ちます。
「♪千里~もぉ あるような~ 藪のなーかを・・・」と軽妙な歌には振り付けがあり、舞妓さんのリードの元踊りながら、
じゃんけんで何を出すか考えます。

三味線を弾く芸妓さんの「はい!どーぞ」の合図で、両者は隔てられた屏風から前に進み、
自分のじゃんけんポーズを見せ合い勝敗が決まります。

じゃんけんポーズはもちろん3ポーズ。
近松門左衛門作の浄瑠璃(文楽)「国性爺合戦」に準じたストーリーで
「和唐内(槍使い)」、「虎」、そして「お婆さん(和唐内の母)」を3つのポーズで表現します。
和唐内は虎に勝ち、虎はお婆さんに勝ち、お婆さんは和唐内に勝ちます。
虎を一突きで倒す和唐内も母親には頭が上がらない・・・ということです。

とらとら
②金毘羅舟々

「金毘羅舟々」は、ビールやお酒の下皿である“はかま(和風コースター)”を机の上で交互に取り合うシンプルなゲームです。
はかまの上に手を置く、はかまを取る、握った拳を出す、という3つの動作が必要です。相手がはかまを取った時は拳を出します。
はかまをと取るか取らないか(はかまに手を置くだけ)は自由です。

これを音楽に合わせて交互にテンポ良く行います。
お手つきをすると負けです。
三味線の音楽はだんだんとスピードアップしますので瞬時に判断することがどんどん難しくなり、勝敗が決まります。

すっかりお茶屋体験を満喫したとま郎くん。
思っていたよりも親しみやすく、とっても楽しい体験に、とま郎くんも満足の様子です。
旅館で舞妓さん達を呼ぶお客さんが増えてくれると良いなと思うとま郎くんでした。

5.今日の芸舞妓さんにインタビュー
芸妓(立方)・小菊さん

芸妓(立方)・小菊さん

15歳の中学卒業と同時に京都に来ました。
母親が着物好きな環境で育ったので、自然と日本舞踊に興味を持ち舞妓の道を歩むことにしました。
この世界に入って12年目になりますが、「辞めたい」と思ったことはありません。
舞妓さんで辞める人もいますが、私は「芸妓になる為の‘舞妓期間’」と思い励んできました。

芸妓(地方)・小恵美さん

芸妓(地方)・小恵美さん

この世界では舞妓を経験してから芸妓になるのが通常ですが、私は27歳からこの世界に入りました。
舞妓さんは基本的に20歳くらいまでの未成年しかできませんので、私はいきなり芸妓からスタートです。芸妓さんは二種類あって、舞専門の「立方」と三味線を引く「地方」です。
私は和楽器が好きだったので、迷わず「地方」の道を選びました。
戸惑ったことは、花街では実際年齢よりもキャリアが優先される縦社会です。
私よりも年下であっても、敬語で話すことはもちろん、荷物を持つこともあります。
ですので、このお座敷では私は小菊さんより年上ですが、「小菊さんねえさん」と呼んでいます。

舞妓・佳つ實(かつみ)さん

舞妓・佳つ實(かつみ)さん

舞妓になろうと思ったのは単なる憧れからです。
「京都には舞妓という職業がある」と存在しか知らず会ってもいない舞妓さんになろうと決心しました。
実家は東京なので、はじめの1年ほどは両親や友人を恋しく思うこともありましたが、
今は毎日が楽しく寂しく思うことはありません。

6.お茶屋遊びをするには?/お座敷でのマナーと行儀作法について

お茶屋さんは「きめ細かなおもてなしをしたい」という方針の下、現在でもどなたかのご紹介がないと入ることはできません(一見さんお断り)。お茶屋さんへ直接連絡することはご遠慮下さい。
しかし、花街に伝承される伝統芸能の保存を図るべく、京都市観光協会と京都花街連合会によって平成8年に「おおきに財団(京都伝統技芸振興財団)」という組織が出来ました。紹介者がいない場合は「おおきに財団」の会員になり、事務局に依頼すると手配をしてくれます。

<おおきに財団HP> http://www.ookinizaidan.com/

※日本語以外の言語は下記のギオンコーナーのページにまとめられています。

他に気軽に舞妓さん、芸妓さんを見ることが出来るのが春と秋に行われる各花街の公演です。またギオンコーナー(京都伝統芸能館)では3月1日〜11月30日の間、毎日日本の伝統技芸(茶道、琴、華道、雅楽、狂言、京舞、文楽)が行われており、この中でも舞妓さんの舞を観賞することが出来ます。

旅館や料亭で芸妓さんや舞妓さんを呼ぶこともできます。

旅館で宴会をする際に舞妓さん達を呼んで頂ければ、老若男女を問わず一層盛り上がることでしょう。当旅館組合に所属する旅館の中にはお座敷遊びをプラン化している施設もあります。お気軽にお問い合せ下さい。

お茶屋でのマナーや作法は?
最後にリラックスして、楽しめるように最低限のマナーと作法をご紹介しましょう。

■ドレスコード……特別堅苦しい格好で出掛ける必要はありませんが、最低限の身なりを整えることが紹介者の顔を立てることにもなります。
靴を脱ぐので裸足は控えて下さい。

■カメラは撮っていい?……カメラ(ビデオカメラを含む)の持ち込みはOKです。 
ただし、床の間(左写真)に上がって撮ったり、
みだりに芸舞妓さんに近づいて撮ったりすることは控えましょう。
写真を撮るときは一声かけるのがマナーです。

■舞妓さんに触っていい?……絶対にダメです。
舞妓さんが身に付けているものは高価な着物や帯は勿論、簪から足袋まで女将さんから借りているもので皆汚したり壊したりしないように大切にされています。
日本では「髪は女の命」と言われているくらいですから、みだりに触れることのないようにしましょう。あくまで大人の社交場です。

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